年齢は単なるナンバー!挑戦を続けるアメリカのシニアアスリートたち

エクササイズ天国アメリカ。ジムに定期的に通ったり、戸外でジョギングしたりとレジャーの一環や健康維持の手段として運動に慣れ親しむ人は珍しくありません。

自己管理や健康目的を超えて「シニア世代」と呼ばれる年齢に達しても競争や自己ベストの記録更新に情熱を傾けてスポーツを楽しむ人たちが大勢います。今回は「全米シニアオリンピック」を通して挑戦を続けるパワフルなアメリカのシニアアスリートの様子をご紹介します。

「全米シニアオリンピック」の歴史

全米シニア競技協会(NSGA)は1985年にミズーリ州のセントルイスで7人の男女のグループにより発足しました。モットーは「教育、フィットネス、スポーツを通じて50歳以上の成人の健康なライフスタイルを促進すること」。

記念すべき第1回「全米シニアオリンピック」大会は当地で1987年に2500人の参加者を迎え、ゴルフ、水泳、陸上など15種目で競うスポーツの祭典となりました。初大会以来2年ごとに開かれる大会はその後、順調に規模を拡大。
この行動力にあふれるアメリカのシニアたちの試みがほかの国を勇気付けると受け止められたのでしょう。イギリスのBBC放送など海外メディアの注目を集め紹介されたほか、保険会社大手「ヒューマナ」やスポーツメーカーの「ウィルソン」などがスポンサーとして会をサポートしています。

2015年7月にミネソタ州ブルーミントン、ミネアポリス、セントセントポールの3都市を会場に行われた第15回大会では1万2000人のシニアたちがハイジャンプなどの各種陸上競技をはじめバレーボール、卓球、バスケットボール、トラアスロンなど19種目にわたる競技で日ごろの練習の成果を披露しました。言うまでもなく、シニア世代を対象とした多種目でのスポーツ競争イベントとしては世界最大級に成長しました。

「Fun, Free and Festive(楽しく、自由に、そしてお祭りのように陽気に)」。
大会はそれぞれのベストを目指し、家族がその勇姿を観戦に来られるようなフレンドリーなムードですしかし、なかなかどうして。「オリンピック」と銘打ってあるだけに、希望者のだれにでも参加資格があるわけではありません。これは厳密なレース! 全米大会に参加するには大会年度の前に州や地区レベルでの予選を勝ち抜かなければならないのです。
2年後の未来を見据えて真摯に競技に取り組みながらも挑戦を楽しむアメリカのシニアの姿があります。

2015年大会のハイライト

NSGAのマーク・リッカー最高経営責任者(CEO)は15年の大会のポロモーションで「人々はそれぞれさまざまなあらゆる理由から(『オリンピック』)にやってきます。スポーツを始めて間もない人もいますし、かつてアスリートだった人も参加します。何かを始めるのに決して遅いということはないのです!」と言葉に力を込めます。

リッカーCEOを体現するかのようなアスリートが既に多く存在するのもアクティブなアメリカならではでしょう。60歳から一念発起してハイジャンプをはじめた人なども含め、特に各種陸上レースは強豪がひしめき合っています。
陸上競技の花形とも言える100メートル走では、男性は年齢別に50~54歳部門から最年長は100歳以上まで全11部門。全米から集まった猛者ランナーたちが健脚を競い、今年は80~84歳、90~94歳、そして95~99歳、100歳以上の4部門でそれぞれこれまでの大会記録が塗り替えられるという歴史的快挙が起こりました。
進化し続けるシニアアスリートたちに、「年齢は単なるナンバーにすぎない!?」とメディアも賛辞を惜しみなく送りました。

あるシニアアスリートの横顔

NSGAが大会の常連アスリートのひとりとして紹介するジャック・アレンさん(58)。
自らを「子供が自立した後に空の巣に残された症候群だから何かアクティビティが必要だった」と少しユーモラスに称しています。

仕事柄出張の多いアレンさんは自分に向いた活動を決めるにあたり、「陸上競技が最適ではないか」と思い至った経緯を明かします。
そんなアレンさんは15年の前大会で、200メートル走、400メートル走、100メートルリレー走などに出場。200メートル走では見事7位に入賞しました。

大会ではレース自体に加えて、ウェルカムパーティーやブランチなど全米各地から集まったアスリートたちとの交流イベントも重要で次回大会に向けたモチベーションになるようです。
アレンさんのブログからは大会で知り合った人とその後、フェイスブックやブログなどの情報を交換し、お互いに撮った写真をやり取りするなどの親交についてもつづっています。

人種もバックグラウンドも多種多様、スポーツ競技を始めた年齢や理由もさまざま。それでもアメリカのシニアアスリートたちは行動力と団結力で全国規模の「オリンピック」というスポーツの祭典に練り上げました。
家族や友人をはじめ世代を超えて「年齢にこだわらずチャレンジを楽しむことが大事!」とのメッセージをパワフルに伝えているように思えます。

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参考:

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