お茶にひなたぼっこにおしゃべりに……縁側で楽しむ魅力の時間

腰を下ろすだけで、あっという間に“懐かしい思い出”の空間にたどり着ける。縁側は、そんな特別な場所ではないでしょうか。昔懐かしい「縁側」は、ひと昔前までは日本家屋にはなくてはならない場所でした。団らんの場、憩いの場として日本人に愛されてきた縁側ですが、住宅の西洋化とともに、その数は年々減っています。子供たちのなかには縁側の存在を知らない……なんていう子もいると思うと、ちょっぴり寂しいですね。

しかし実は最近、「縁側ブーム」なるものが起きているのをご存じでしょうか? 縁側に慣れ親しんだ世代はもちろん、その魅力を知らずに育った若い世代にも、縁側独特の魅力を感じる人が増えているようです。そこで今回は縁側の魅力の再確認とともに、素敵な縁側でとびきりの時間を過ごすことのできるレストランや施設を紹介したいと思います。

縁側はなぜ人をひきつけるのか

家の中でもない、そして外でもない不思議な位置にある縁側。ひなたぼっこや夕涼み、家族みんなで縁側に腰掛けてスイカを食べたり、縁に座って花火を楽しんだりと、縁側は住人の生活に深く関わってきました。近所の友達と縁側で将棋を指す時間が毎日の楽しみ……なんていう人もいるのではないでしょうか? 縁側で過ごした時間というものは、人の心にどこかふんわりとしたあたたかな記憶を刻んでくれます。子供や孫たちの記憶にも、縁側で過ごした時間というのは、なぜか鮮明に残っていたりしますよね。

開放的な空間でさまざまな行事や日常生活を楽しむことができる縁側ですが、実は、建設学的にも非常に優れた場所です。家の外と中に縁側というスペースをとることで、室内に直射日光が差し込んで室温が上がったり、畳や障子、家具が傷んでしまうのを防いでくれたりもします。冬の寒い時期は、雨戸やふすまをしっかりと閉めることで、雨風や寒気が家の中に入り込むのを防いでくれます。また、低い位置にある冬の太陽の光を、なるべく室内の奥まで届けられるようにというすばらしいデザインのつくりなのです。

縁側の楽しみ方

日常生活でも活躍できる縁側ですが、特別なイベントを楽しむ場所としてぜひその魅力を家族や友人と共有したい場所でもあります。お花見、花火、お月見、雪見といったように、四季の移り変わりを愛でるのもよいでしょう。夕涼みをしながら、ビールとおつまみでのんびりと最近の出来事を語るもよし。孫がポカポカのひなたでお昼寝をしているのも眺めながら、息子と囲碁・将棋を楽しむなんて、最高の時間の過ごし方ではないでしょうか。

縁側が楽しめるおすすめの訪問先は?

「我が家には実は縁側がなくてね」という人は、ぜひ縁側が楽しめる施設を訪れてみませんか? 素敵な縁側が楽しめる全国の5つの施設を紹介するので、家族や友人とのお出かけのアイデアにしてみましょう。

大正8年に朝倉虎治郎氏によって建てられたこちらの住宅。縁側から眺める回遊庭園はお見事としか言いようがありません。年間観覧料が500円というお手頃な値段なので、渋谷区周辺に住んでいるならば、ちょっとした息抜きやリフレッシュの場所として利用するのもよさそうです。

BBQ施設や宿泊施設としても使えるこちらですが、なんとも贅沢なのはお茶の間や縁側を開放してもてなしてくれるカフェ。おいしいコーヒーはもちろん、朝・昼・夜の食事も楽しめます。日本酒や着物をテーマとした集いなども開催しているので、ぜひチェックしてみましょう。

地域振興の一環として行われているこちらの縁側カフェ。おいしいお茶と地域の人との交流を楽しみながら、農家の縁側を心ゆくまで楽しめるイベントです。孫に昔ながらの日本の風景を見てほしい。自然の美しさを見せてあげたい。そんな願いをかなえてくれるイベントです。

築250年を超える茅ぶき民家は、実はベーグル屋さん。開放的な雰囲気の縁側で、おいしいベーグルを楽しむことができます。営業は週末だけだそうですが、のんびりとした心地よい空間は、訪れる価値がありそうです。

福岡市内からも、日帰りで行ける温泉として楽しめるこちら。露天風呂においしい食事だけでも魅力的ですが、縁側付きの休憩所で、お風呂上がりの火照った体を休める時間は最高の贅沢です。水の流れる安らぎの音と、季節の移り変わりが楽しめる木々に囲まれて、心も体もリフレッシュできる施設です。

不思議な空間の魅力をより多くの人に伝える

人々の心に安らぎを与えてくれる不思議な空間、「縁側」。最近新たに注目を集めているのには、さまざまな魅力が関係していそうですね。ご自宅の縁側で、大好きな人たちと思い出作りをするもよし。縁側のある施設で、非日常的な空間を楽しむもよし。縁側の魅力を再確認し、その良さを多くの人々とシェアしていけると素敵ですね。

参考:

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